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インタビュー

ローカルフードサイクリングで目指す「おたがいさま」の共助社会

NPO法人循環生活研究所 理事長 たいら 由以子 さん

taira LFC

<NPO法人循環生活研究所とは>

循環生活研究所(通称:循生研~じゅんなまけん)は、『暮らしに必要なものを地域内で循環させることで得られる、楽しくて、安全で、創造的な生活』を「循環生活」と名付け、調査・研究・提案を行っている市民団体で、平成16年9月に特定非営利活動法人となりました。
主な活動として、生ごみや庭からでる有機物をごみとして出さずに循環させる技術と堆肥づくりの楽しさを伝えています。手作りの堆肥がもたらす循環のさまざまな恩恵を享受できる豊かなライフスタイルに興味がある方々と、規制や義務的ではなく、すすんでやったみたいと思える楽しい活動に取り組まれています。

Local Food Cycling(ローカルフードサイクリング:LFC)

台所を起点とした地域の栄養サイクルをつくるプロジェクトです。家庭で取り組むダンボールコンポストをコミュニティ化し、堆肥を使って地域の畑で野菜を育て、地域で消費する半径2kmの資源循環サイクルをつくります。NPO法人循環生活研究所がアイランドシティ(一般住宅型)と美和台地区(高齢者型)、天神地区(商業地区)の3つを活動拠点にして取り組んでいます。

 

 

環境省同時解決事業へのエントリーに至った経緯を教えていただけますか?

対象とした美和台地区は、40年前に丘を切り開いて開発・造成された郊外型の戸建中心のエリアであり、坂道が多く、高齢者や乳幼児を抱えた世代は外出時に困難を余儀なくされています。私たちが地域の方とコンポスト活動を始めた場所であり、この20年間で高齢化が25%以上に進み、一緒にダンボールコンポストを行っていた方々がご自宅から出かけることが難しいという状況になりました。このような新しい課題の解決と、これまでの資源循環の推進の方法を変えていくことにしました。2つの課題が明確であり、地域からの要望もあったことから、同時解決事業に応募しました。採択が決まったときは、地域の方と一緒に大喜びしました。

 

 

Q:本事業では、高齢者のいる世帯にダンボールコンポストを設置し、循環生活研究所のスタッフが見回りも兼ねてその家庭を定期的に訪問し、高齢の方にお声掛けしながらコンポストの管理をするという非常にユニークな活動ですが、このようなアイディアはどのようにして生まれたのでしょうか?

私たちはもともと、生ごみは地域の共助社会の資源であると考えていましたが、私たちが活動を始めた頃の設置型コンポストの継続率はわずかでした。しかし、私たちがダンボールコンポストを開発し、地域の方と一緒に活動に取り組み続けた結果、継続率が何倍にもなりました。しかし、前述したとおり、高齢化が進むとともに、車を手放し外出するのが困難になった方や、調理をする機会が減りコンポストをやめてしまう方が増え、私たちも新しいやり方を考えないといけないと思うようになりました。社会福祉協議会や民生委員さんと会議を重ね、私たちのスタッフが各家庭のダンボールコンポストの管理と見守りをかねた活動の構造ができました。

まずは、博多湾のアイランドシティで、このローカルフードサイクリング(LFC)の活動をスタートさせました。ダンボールコンポストでできた堆肥を回収、美和台では私たちスタッフが巡回し、回収するという仕組みをつくりました。

 

 

事業期間は2ヵ年ですが、現在までの進捗状況や成果はどのようなものでしょうか?

ダンボールコンポストについては、72軒(H31年2月末現在)と非常に多くの方に会員となっていただき、週に1回程度巡回し、お声掛けを行っています。また、会員さんからは、「ごみ袋が小さくなった」、「コンポストの実践が楽しい」、「スタッフとのやり取りが楽しみ」との声をいただき、ごみ減量やコミュニケーション面での効果が見られるようになりました。その他、ご自宅の庭を事業のための菜園として貸していただく菜園会員さんも目標の5軒に達し、種まきや苗の植付などを行い、収穫が始まった菜園も出てきました。また、LFCの講座を開催したり、マーケットで野菜を販売したりと、地域の方と一緒に、楽しみながら活動を行っています。
この事業で福祉分野の方と連携し、活動を進める中で、地域からのニーズの大きさに驚いています。
私たちは、生ごみは廃棄物ではなく共助社会の資源であると考えていますので、この事業をとおして、
生ごみを起点に地域の人と人をつなぎ、人とコミュニティの絆を深くする「おたがいさま」の共助社会の実現を目指していきたいと考えています。

 LFC taira with dog

 

(平成30年12月 インタビュー)

<リンク>
NPO法人循環生活研究所
http://www.jun-namaken.com/

 

若者が取り組む地域課題解決のアクションをサポート!

北九州まなびとESDステーション 特任教員 宮原 昌宏 さん

 

 北九州まなびとESDステーションは、北九州の全10大学と地域社会が連携し、実践活動による人材育成に取り組むプロジェクト型の拠点で、「マイプロジェクト(通称マイプロ)」をはじめ、若者がアクションを起こす機会を創出しています。マイプロジェクト九州実行委員会の事務局として、プロジェクトを運営しながら高校生、大学生のサポートをされている宮原昌宏さん(北九州まなびとESDステーション 特任教員)に、活動の背景や拠点の特長、若者による活動の様子などについてお話を伺いました。

※「マイプロジェクト」とは、高校生が地域や身の回りの課題や気になることをテーマにプロジェクトを立ち上げ、実行することを通じて学ぶ課題解決型の学習のことです。

 

環境省事業として、平成28年度より北九州まなびとESDステーションを拠点にESD推進に取り組まれていますが、事業スタート時点の状況を教えてください。

 北九州市では、平成27年に制定された教育大綱に「子どもたちのシビックプライドの醸成」を掲げ、学校・家庭・地域など地域ぐるみで子どもの教育を支える取組を推進しています。また、市内には多くの高校や大学があり、若者の転入が多い地域です。しかし、卒業後、市外に転出する割合も高く、若者の定着を促進し、地域で活躍する機会を創出するための仕組みやネットワークの構築が求められていました。そのようなことから、マイプロジェクトの実行委員会を立ち上げ、マイプロの実践をとおして、社会や地域の中で、若者の「居場所」「役割」「つながり」をつくり、若者の自己肯定感や自己効力感を育みながら、若者が活躍する地域をつくることを目指し、取組を始めました。

 

 

北九州まなびとESDステーションの特長はどのようなものですか。

一番の特長は、北九州市内の10大学の学生や地域の方を対象に、まちなかでユニークな講座やセミナーを開催していることです。当ステーションは、北九州の歴史ある商店街・魚町銀天街の中にあり、年齢に関係なく、学びたい人が自由に集う学びと交流の場所になっています。また、大学の授業の一環として、複数の大学の先生による連続講座も開催され、異なる大学の学生が参加するため、相互に刺激しあいながら視野を広げ、学びを深める貴重な機会となっています。

 

 

環境省事業として、どのような活動に取り組んできましたか。

主に、次の4つの活動に取り組んできました。

・高校生を対象とした「マイプロジェクト」に大学生の参加枠を設け、大学生の参加機会を創出する。
・マイプロジェクトの推進拠点として、定期的に「交流」「発表」「振り返り」の場を作る。
・若者の活動を支援する社会人を募集し、プランニング支援や定期的なフォローアップを行い、活動の継続と充実につなげる。
・学生による課題解決に向けた活動に協力していただける社会人や企業を募り、企業と地域が連携して若者を応援する体制や関係性を構築する。

 

本事業をとおして、どんな成果がありましたか。

マイプロジェクトの推進拠点として、プランニング→交流→発表→振り返りという1年間の流れを作ることができました。また、参加者が社会人や地域の方と継続的に交流する機会を設けることで、拠点を中心に、人の輪、活動の輪、そして学びの輪を広げることができました。
また、企業の社会的責任(CSR)ではなく、本業(人材育成、新規事業開発など)とマイプロジェクトをつなげることで、企業の方にも積極的に参画してもらうことができました。

マイプロジェクトを経験した生徒が大学生や社会人となり、高校生をサポートする立場でマイプロに協力してくれるケースも出てきており、世代が循環し、人材育成が進んでいく状況が生まれつつあります。
これからも、若者が地域や未来づくりに主体的に関わるプロジェクトの拠点として、企業や地域の方の参画と支援をいただきながら、「地域ぐるみのESDの推進」に取り組んでいきます。

(平成30年10月 インタビュー)

 

 

<リンク>
北九州まなびとESDステーション

manabito SS

https://manabito.kitakyu-u.ac.jp/

マイプロジェクト
https://myprojects.jp/

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EPO九州では、人と地域を育くむ持続可能な開発のための教育として、ESD拠点支援事業*を行っています(本年度は、北九州、水俣、日南の3か所で実施)。

今回はその中から、日南市の子育て支援センター「ことこと」を通じて、宮崎の飫肥杉を用い高校生が子ども用おもちゃを提案する「高校生木育デザインプロジェクト」を支えている「高校生木育デザインプロジェクト連絡協議会」のメンバー、みやざきアートセンターの緒方由紀子さんにお話をうかがいました。

* ESD拠点支援事業とは、ESDや環境教育に取組む学習センターや社会教育施設などの地域拠点におけるESDの取組強化やネットワーク形成を推進することを目的としている事業です。

ESD(Education for Susutainaobl Developmante)とは、持続可能な開発のため地域の人材を育てる教育をさします。
 20171203インタビュー写真2


Q:みやざきアートセンターでは、主にどんな業務を担われていますか?

教育普及課に属し、展覧会の関連イベントを企画運営したり、キッズルームの管理、木育事業を担っています。

Q:ESD拠点支援事業に参加されたいきさつを教えてください。

みやざきアートセンターでは、子どもたちへの教育の一環として木育事業もやっており、私が担当しています。それで、高校生木育デザインプロジェクトが立ち上がったのをきっかけにお手伝いすることになりました。

Q:宮崎では「高校生木育デザインプロジェクト」という取組をされていますが、高校生を対象にされたのはなぜでしょうか?

宮崎県は杉の生産高が日本一です。しかしながら、地域の循環資源である木材について、またそれを扱う林業について知る機会がありません。まずは地域の財産を知ってもらい、また、その素材を「デザイン」の力で世の中に出していく、ということを学ぶことで、将来を担う高校生にとって、

貴重な経験になるのでは、と思っています。

Q: この取組を「高校生木育デザインプロジェクト連絡協議会」で高校生たちをサポートされていますが、この協議会ができた経緯を教えていただけますか?

協議会ができた経緯は、高校生がスムーズな活動が出来るようにするためです。

Q: この協議会には、どのような方が参加されているのですか?

宮崎は林業が盛んな県です。このため木育には以前から関心があり、宮崎県と、宮崎県森林林業協会、みやざき木づかい県民会議の3者が協力し、「木育サポーター」を育成したり、「木育デザイン協議会」を作って勉強会をし『木育かわら版』の発行をしたりしています。このようなベースがあり、協議会には、県の担当部局や森林林業協会に加盟の地場産業の方々、木育サポーターとなられた一般市民ボランティアなど幅広い方が参加されています。その中で、高校生のスケジュールに合わせられる方にご出席いただいています。

Q: 「高校生木育デザインプロジェクト連絡協議会」では、緒方さんは主にどんなことをされているのでしょうか。

役割としては、スケジュール調整、連絡網作成、協議会の企画・場の設定など、主に学校側との調整がです。

Q:高校生の活動を見て、人材育成の面でどのような力が培われていると思いますか?

生徒たちは、普段は一人で制作していることが多いようです。この活動では、個人ではなくチームで意見を出し合うことから始まりますので、まず意見をまとめる、まとめたものをカタチにしていく、という一連の作業を通して、〝人と協力する〟というコミュニケーション能力を高めているように感じます。また、プレゼンテーションを通し、他のチームの良い点を見ることでお互いの学び合いになっているように感じます。

Q:今後、彼らにどのように育っていってほしいと思われていますか?

自分が育った場所の事を知り、誇りに思い、帰る場所があることを感じ、どんな職業についても自分が欠かせない存在であることを信じて頑張ってほしいです。

Q:ESD拠点支援事業を通して、何か発見されたり変化を感じられることはあるでしょうか。

学校側として高校生が地域や社会と触れ合う機会が少ない、地域や企業にとっては高校生と接する機会が少ないという問題を、ESD拠点支援事業を通して、お互いの悩みを解決できるきっかけになっていると感じます。

Q:今後、このような高校生(若者)の学びの場作りについて、アートセンターとしてやっていきたいとお考えのことは何かありますか?

すでに取り組んでいるのですが、高校生に講師になってもらい、展覧会の関連イベントを実施しています。今後も、このように高校生に活躍してもらえるような場を設けていけたらと考えています。

 

20171203インタビュー写真2

<リンク>

みやざきアートセンター

http://miyazaki-ac.com

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今回インタビューしたのは、大牟田市教育委員会 教育長 安田昌則さん。
大牟田市では、平成24年1月に市内のすべての小学校・中学校・特別支援学校がユネスコスクールに加盟し、「ESD 持続可能な開発のための教育」を進めています。
安田教育長には、九州地方ESD活動支援センターの企画運営委員として、センターの設置準備検討より、ご協力をいただいております。今回は、全市的なユネスコスクールの取組のねらいや今後の展開などについて、お話しをうかがいました。

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