今年度のインタビュー企画「繋げよう九州!広げようEPOの輪!!」では、 東日本大震災での被災地支援を行われている団体の方、再生可能エネルギーに
ついて活動している団体の方にインタビューしています。
環境省は、廃棄物・がれき処理についての対応などのため、全国の地方環境事務所 より現地に職員の方を派遣されています。 前回のペット保護の取組みに続き、今回は廃棄物の対応について、九州地方環境事務所 廃棄物・リサイクル対策課の溝手康人さんに、お話を伺いました。
環境省 九州地方環境事務所
廃棄物・リサイクル対策課
溝手 康人さん
○環境省の廃棄物・リサイクル関係の取組みについて
平成23年6月3日に環境省の現地災害対策本部が正式に設置されて、私はチーム員
として、岩手県に配属されました(宮城県、福島県にもあります)。
災害対策本部メンバーには、財団法人日本環境衛生センター、国立環境研究所の
研究者の方も入っていて、廃棄物については、専門機関・専門家が中心となって
構成されています。
設置当日に結団式があり、そのまま岩手県に入ることになりました。初めに、
約1週間かけて、岩手県内太平洋沿岸の12市町村を見て回りました。当時、
私から見た感じでは、復興まではまだまだという感じでしたが、震災直後の状況を
知っている人にとっては、これでも大分良くなった方だということでした。
廃棄物(がれき処理)、ペット関係など、問題は山積みですが、廃棄物について
環境省は、平成27年3月を目途に処理していこうとしています。廃棄物・リサイクル
関係の業務については、家電リサイクル法の対象となっている廃棄物も結構出ていますので、
処理についての問合せに対する助言や、自動車に関しても指導も行っています。
自動車の場合、見た目がかなり破損しているものでも、ボンネットに記載されている
車体番号は残っているケースが多く、そこから所有者を割り出します。自動車も、本来なら
持ち主を確認して、処分するか否かの意向を聞かないといけません。ただ、今回は自動車
の所有者が不明の場合が多いため、市町村が公告して、何も連絡がなかったら、2週間後
処分することになっています。制度自体は既にある法律を適用し、それにそぐわないものが
あれば、その都度環境省で決定し、現場で対応しています。様々な対応マニュアルも作成
されています。


TVや冷蔵庫等多くの家電も 車は原型をとどめていません。 鉄筋コンクリートの建物だけが残され
回収されています。 車体番号から 持ち主を確認します。 ています。
○がれき処理について
がれきの片付けについては、私が見た限り、岩手県の中央部にある岩手県岩泉町より
北の市町村はスムーズに進んでいたようでした。ある市町村では廃棄物の分別が、
出来ていないところがありました。ある市町村は、廃棄物がきちんと分別され、運搬
車両の通り道が整備されていました。全体的には、廃棄物の集積場所の確保が難しいこと
もあり、廃棄物が高く積まれているため、足場が弱いというところと、火災が発生する
危険性があります。
今回の震災は津波が発生したため、廃棄物発生量の把握についても、どこから来たものか
分からないものがあったりして、由来の追跡も難しいですね。例えば、阪神大震災の場合は、
地震だけだったので、由来の追跡は難しくありませんでした。環境省が発表している量も、
推計と言う形で、こういうことを元に、これだけの量を出しましたということを注意書きに
しています。推計のやりかたは色々ありますが、だいたい476万トン位が廃棄物として
発生し、岩手県では通常の約11年分の量が発生したともいわれています。
また、海沿いの倉庫が、津波でやられてしまっているので、その処分も結構苦労されて
いるようですね。臭いもすごいし、海の近くでの埋め立ても崩れやすく難しいということで、
基本的には禁止されていますが、やむを得ないということで特例的に海洋投入もしています。



運動場に積み上げられたがれき。 推計約476万トン、約11年分の廃棄物。 海沿いの倉庫も津波の被害を受け、多く
これらの分類・処理が早急に 求めら の魚介類加工品が散乱したそうです。
れています。
がれきの処理がスムーズにいかない理由に、処理施設も被害を受けていることが
挙げられます。太平洋セメント大船渡工場も震災で被害を受け、6月下旬にようやく
一つの炉が復旧し、そこで当時一日300トンもの量を処理しています。最終処分場は、
普通の状態でも余裕のあるところはないわけだから、一度にこれだけの量が出てきて
しまうと、実際はとても処理できない状況なんですね。岩手県内では、使っていなかった
焼却施設を再稼働させたりしていますが、なにぶん量が多いから進んでいきません。
そういうことで、他の県にお願いしようということで、広域処理という話が出ています。
可燃物、不燃物、木くず、紙屑等に分け、市町村で処理できる分と、広域で処理していく
分に分けることが必要になってくるでしょう。中には、民間の会社に出して、リサイクル
で使っていくところもありますが、量が量なだけに難しいかと思います。
広域処理をしていくにあたり、塩害の問題もあります。今回出た廃棄物は、塩をかぶっている
ものが多いので、そのまま処理をすると炉が傷んでしまうんです。※できれば、塩を除いた
時点で、引き渡しをしたいのですが、そういうことも言っていられませんので、先ほど
挙げた工場では、炉が傷むのは覚悟の上で、処理されています。他のところに確認しても、
まず塩のことを聞かれますね。あとは、放射能の関係です。実際には、まずは受け入れて
もらえるかの調査、そして情報公開をして、安全性が確保されてから検討ということになる
でしょう。
※現在は、脱塩施設を設置しているため、対策はとられているようです。
○今後の課題 ―広域処理について―
広域処理というのは、今回の大きな教訓です。予期せぬ災害が起こった時の対応や自治体
同士の連携の部分については、今後日本全体で考えていかないといけない問題だと思います。
分からない情報が多く、不安だと思いますが、もしかしたら、明日自分のところであるかも
しれない。決して他人ごとではないですよね。実際に、今回のことから、自治体の方も
いろいろと知恵を絞って、処理の際の対策をまとめられています。(グッドプラクティス集
という形で、東北地方環境事務所のホームページにも出ています。)
県・地域独自の問題であれば、そこで解決するかもしれませんが、環境自体は日本共通の
もの。本当に皆さんで考えていかなければいけないと思います。
◆インタビューをおえて インタビューをとおして、震災・津波被害の物理的な大きさを知ることになりました。
復旧から復興へと進む中で、経験したことのないプロセスの只中で知恵を絞り、
現場で対応する様をうかがうことができました。
くらしを支えてきた地域基盤が被災する中、被災地の負担をすこしでも少なくできるような、
地域同士の連携が期待されますが、まだまだクリアしなければならないハードルも多いこと
を痛感させられました。
一つ一つの取組みに込められたノウハウや知見を、各地各所の地域づくりへ積極的に反映
させていくことも、被災地を支えていく一つの考え方になると言えます。
EPO九州 澤 克彦
【リンク先】
災害廃棄物処理優良取組事例集(グッドプラクティス集)
http://tohoku.env.go.jp/to_2012/data/0110a.pdf
沿岸市町村の災害廃棄物処理の進捗状況
http://www.env.go.jp/jishin/shori120111.pdf
岩手県災害廃棄物処理詳細計画
http://www.pref.iwate.jp/view.rbz?nd=4406&of=1&ik=1&pnp=50&pnp=2648&pnp=4406&cd=33428
環境省 九州地方環境事務所


