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繋げよう九州!広げようEPOの輪!インタビュー 藤田 八暉さん


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今回のインタビューは、久留米大学経済学部教授 藤田八暉さんに ご協力いただきました。
環境庁でのご経験とEPOというパートナーシップオフィスができた経緯、 そしてこれからEPO九州に期待することなどについて、お話しいただきました。

 インタビュー 藤田 八暉氏
-環境庁発足当時のお話しを教えてください。

○公害対策から始まった環境行政

 高度成長の中で激甚な公害問題(大気汚染、水質汚濁)などが噴出する中、
こうした課題へ対応する関係法の整備に携わっていました。
当時は、カラスの泣き声が聞こえない日があっても、公害報道がない日はないと言われた日々です。
 公害問題に関わった人間として昭和45年は忘れられない年ですね。
公害による様々なデータがピークを示し、その年の11月にはいわゆる公害国会があるなど
転機となりました。
当時アメリカでの環境保護庁設置という動きを見ながら予算編成と議論が進んでいました。
当初は公害対策を専門に扱う中央官庁が必要との認識から出発していました。
その際、各省の公害対策関係部局、自然保護関係部局もあわせて環境保護庁という考え方に広がり、
名称も環境庁となりました。また、新たな官庁を急遽作り出すということで、
各省庁からの人と組織によって編成された調整型官庁として、
自然環境保全法と公害対策基本法を両輪としながら関係14法をもとに行政を進めていきました。



○地球環境問題も視野に入れながら

 また昭和49年7月には企画調整局に環境管理課ができ、公害防止計画に加えて
環境アセスメントについての法制化に取組みました。環境庁が公害への対応、大規模開発に対して
環境保全へ向かう中では関係省庁とのコンフリクト(緊張関係)もありました。
この時、自然環境保全と公害対策を統合した基本法、環境全体をカバーする法律が求められる中、
リオでの地球サミットがあり、カーター政権の20世紀レポートなどをふまえながら、
国内の環境問題に加え、地球規模での環境保全を視野に入れた環境基本法への要請へと
つながっていったのです。
無論、地球環境問題も視野に入れ、環境アセスメントも含めたものでした。
こうした地球環境問題への取組や地域の環境課題に応じた対応については、
一律的な環境行政の立場から一歩踏み出す必要があります。

環境行政の領域

環境のレベルが高い状態→→→

公害対策や基本的な環境保全・自然保護など一律の取組。

環境のナショナルミニマム

地域の課題やニーズに対応したより快適な環境づくり。地球環境問題への視座。

一律の取組から多様な取組

大気環境に例えると左側が大気公害対策であり、真ん中から右側に向かうものが空気がよい、
静かといった環境のレベルが高い状態を想定している。
左を基本としながら、右側に向かうにあたっては、国と言う立場で一律に取り組むことに限界がある。

-環境行政にとってパートナーシップの役割は何でしょうか?

○一律・一元から多様・多主体による取組

  図の左側にある公害対策、自然保護への対応(ナショナルミニマム)から、
右側に向かうには、地域の多様な主体の関わり、地域の特色やブロックごとの環境についての
ニーズや方向性をふまえた議論、すなわちパートナーシップが求められる部分といえます。
環境庁でも、地方でおこっている環境課題の情報を把握するしくみとして調査官事務所を設置し、
地域から情報をつかむというプロセスに加えて、発信についても取組を広げていきました。
96年に環境庁と国連大学によって地球環境パートナーシッププラザ(GEIC、東京青山)が
開設されるなど、官設民営の中間支援オフィスも出てきました。
当時は何をするところかと言う議論もありましたが、環境省の時代になって地方事務所だけでは
カバーできない役割を、そうした中間支援組織が担うという認識が広がり、
地方環境パートナーシップオフィス(EPO)へとつながっていったと理解しています。
東京と行き来していると、九州に入ってくる情報のテンポや質に遅れを感じる時があります。
例えば、そうした情報をしっかりと発信するのがEPOの役割でしょう。
またパブリックコメントをとおして意見を集めるだけでなく、
そのプロセスに関わる中間支援者の役割、つまり意見公募や議論の成果を
さらに環境行政へ反映させるような役割です。
それは端的には「つなぐ役割」ですね。本省と地域をつなぐ、地方事務所が入っていけないところへ
入っていき、個々に活動する団体との共有、発信といえます。


-環境政策セミナーで取り上げた温暖化緩和策・適応策についてお聞かせください。

○正確な情報と地場技術を

  いま自治体でも、地球温暖化対策に取り組み、関心は高まっています。
しかし行政以外の方々への意識付け、低炭素型社会づくりに向けた声がまだ弱い部分があります。
また緩和策についてはチャレンジ25という政府の方針があり、
これに九州としてどう取り組むかが求められています。地域では温暖化の影響が
避けられない部分がある。いずれにせよ現状についての正確な情報がないと進みません。
環境政策セミナーで示された気象台のデータや各主体からの報告の意味は大きかったといえます。
自分のところは大丈夫だろうと言うその場の楽観論では手遅れです。
既に久留米でも高温障害に対応した稲作に取組んでいますが、成果にはかなり年数を擁します。
少しでも早く取り組まないと前に進まない。もっと多様な分野で地場技術の応用で取り組めないか
と思いますね。例えば小水力発電などは農業技術や基盤と親和性がありそうですが、
そういう分野の情報や認識がまだ薄い状態ですね。
ローカルにあるものの中から温暖化へ向けた緩和・適応が取り組める余地はありそうです。

-今後のEPOへの期待は何かありますか?

○環境教育・ESDの充実に向けて

  実は、現在の学部学生は十分な環境に関する知識を得ているわけではありません。
学部最初の段階で環境についての講義をしますが、学生が初めて知ることも多いようです。
小学校での環境教育は充実しているようですが、中学・高校での環境教育が空洞化していますね。
そういう意味では、学校の先生向けの環境教育研修が必要ではないかと思います。
文科省と環境省による環境教育リーダー研修の事後フォローや、研修を受けた先生方が
さらにレベルアップできる場づくり、ネットワークづくりが必要ではないかと思います。
あわせて質の高い情報、九州で環境関係についての研究者情報がEPOにあるといいですね。
そうしたEPOならではの取組みが充実できる体制づくりも視野に入れて活動を広げてもらいたいと
思います。



                   (聞き手) EPO九州 コーディネーター 澤 克彦



【リンク】

久留米大学

http://www.mii.kurume-u.ac.jp/





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