少子化による学校統廃合が進む近年、廃校を活用して、宿泊等を含めた施設運営を進め、地域の活性化と地域課題の解決に繋がっている事例が多く見られます。九州各県の先進事例を元に、情報交換やネットワークづくりの場として「2012全国廃校活用セミナーin熊本」が開催されました。
【日時】平成24年6月14-15日
【場所】きくちふるさと水源交流館
【主催】?都市農村漁村交流活性化機構(まちむら交流機構)
【共催】NPO法人きらい水源村
【協力】ふるさと用務員の会、菊池市
【事例発表者】
「大野ESD自然学校」(旧大野小中学校/鹿児島県垂水市) たかくま森人クラブ
「森の学舎(まなびや)」(旧西門川小学校松瀬分校/宮崎県門川町)NPO法人 子どもの森
「やかた田舎の学校」(旧屋形小学校/大分県中津市)屋形地域協議会
「五島列島ファンクラブ」(旧戸岐小学校半泊分校/長崎県五島市) 企業組合五島列島ファンクラブ
「山里の美術館 共星の里」(旧黒川小学校/福岡県朝倉市) 共星の里国際芸術研究所
「きくちふるさと水源交流館」(旧菊池東中学校/熊本県菊池市)NPO法人 きらり水源村
今回会場になった場所は、発表団体の一つである「きくちふるさと水源交流館」。
木造レトロな建物と渡り廊下から見える緑の芝生。
一歩踏み込むと、教室に下がる「調理室」という札のようが学校的雰囲気に、懐かしいような、ちょっと
どきどきするような気持ちを抱えつつ、教室(会場)に辿り着きました。

手書きのMAPがいい感じです。 渡り廊下から見る校舎。レトロな建物がすてきです。
まず全国の廃校の実情について、お話を伺います。全国で20年間で6000校が閉校されている中、
そのうち3割が未活用だそうです。少子化が進み、学校統廃合が進む中、増え続ける廃校は、
地域コミュニティのシンボルとなり、活性化に繋がる可能性を秘めています。
現在の活用例として、大学施設・研究施設、定住支援施設・創業支援施設、福祉施設、文化施設、
産業振興施設(農業・林業・水産関連)、都市農村交流施設などが挙げられました。
その後、各取組みについて紹介されました。
【1日目】
【大野ESD自然学校】 運営主体:垂水市、鹿児島大学、大野地区、たかくま森人クラブ
鹿児島大学農学部演習林の中にある大野ESD自然学校。鹿児島大学のサークル「たかくま森人クラブ」の学生たちがスタッフとして活動。垂水市の19%を占める高隈演習林の豊かな自然の中で、小学校の総合学習の受入や、主催キャンプを実施し、学生も地元の祭り等にも積極的に参加し、地域に根差した活動を進められていました。
地域のお祭りの参加者数が800名⇒3000名になったとのこと!複合的な要因があるとのことですが、学生のパワーがその場を盛り上げたことは間違いないでしょう!
【森の学舎(まなびや)】運営主体:NPO法人 子どもの森
宮崎県門川町の豊かな森林を活用し、子どもたちが自然環境の源である森や川に触れ合うイベントを開催。
また、四季をまるごと体験ecoスクールとして、イカダで清掃活動や、塩づくり、パン作り、農業等のメニューを通して、将来環境の守り手となる次の世代に対して、自然の大切さを知ってもらい、意識を高めるきっかけとなることを目的として、普及啓発活動をされていました。地域の子どもたちが地域の自然を知り、貴重な体験を重ねることで、将来の地域の担い手に繋がるのだろうなと感じました!
【やかた田舎の学校】 運営主体: 屋形地域協議会
大分県中津市にある「屋形地域協議会」に行政から廃校になる小学校の在り方検討を実施した際、、70%の人が残してほしいと回答したことをきっかけに、地域の人と話し合いながら、都市住民と地元民が農業体験や交流を通して、地域を活性化する施設として再生した施設。宿泊施設として利用され、ソバ打ち、田植えなどの地元の方による自然体験を提供しているほか、地域の運動会やお祭り等の会場として利用し、地域のシンボル的な場所となっているそうです。
【五島列島ファンクラブ 半泊分校】 運営主体:企業組合五島列島ファンクラブ
東京生まれ、東京育ちの濱口さんが、全国のあらゆる地域を見て歩き、最終的に居を構えたのが、いわゆる限界集落である五島列島の半泊集落。500m四方のこの半泊集落にある廃校を拠点として、集落全体の繋がりを深めながら、訪れた人に半泊集落の隠れキリシタンの歴史を学び、里山の暮らしを体験してもらい、里山保全や生物多様性について学ぶ機会を提供されています。
【山里の美術館 共星の里】 運営主体:共星の里国際芸術研究所
現代アート作品の展示や、明治・大正・昭和の蓄音機の展示、また体験型ワークショップやアートキャンプ、コンサートの開催等、地域(自然)とアートを結ぶ拠点。現代アートも多く展示していると同時に、村に根付く文化やそこに暮らす人々とのつながりを大事にしているとのことでした。写真を見ると、学校の廊下に現代アートのオブジェがドーンと置いてあり迫力満点!修学旅行の受入やレストランも併設してあり、地域の活性化にも貢献されています。
【きくちふるさと水源交流館】 運営主体:NPO法人 きらり水源村
会場であるきくちふるさと水源交流館は、グリーンツーリズムの拠点施設(宿泊・食事・体験)として、オープンしました。野菜部(農業体験指導から新規就農支援)や加工部(お弁当や食堂の料理提供や郷土料理体験指導など料理上手なお母さん(愛称「水源ばぁば」)たち)など、地域に暮らす人々の知恵を活かし、体験活動として提供しています。農作業や地元の体験活動を通して、地域を知り、活性化につなげています。この日に出てきた食事はもちろん「水源ばぁば」の方が作ったもので、 とってもおいしかったです!!
一日目が終わり、お楽しみの懇親会。先ほどご紹介した通り、「水源ばぁば」の皆様がつくる、地域の食材を使った食事は、とても美味しくて、ますます会話がはずみます。

本日のお品書き。 こんなにたくさんの種類のおかずが!! これでもほんのごく一部!どれも本当においしかったです!
その後、宿泊するメンバーが集まり、熊本大学文学部教授の徳野貞雄先生の 特別講義を拝聴。
限界集落、地域、現代の家族についてなど、幅広い講義内容に、参加者同士の意見交換も深まり、
どっぷりと夜は更けて行きました。

【2日目】
2日目は、「全国における廃校活用の動向と事例紹介等」と題し、現在の状況について紹介があった後、
アドバイザーに、熊本・水俣の「久木野ふるさとセンター愛林館」館長の沢畑亨氏を迎え、
事例報告者6名とのパネルディスカッションとなりました。
コーディネーターを務められたのは、廃校利用施設の波野やすらぎ交流館 館長 望月克哉氏。
各地域に共通する悩みを共有しながら、その地域の特性を活かした廃校活用について、発表していただきました。
また、同じ活動をしている関係者の集まりを持ち、情報共有・交換することの重要性について、意見が出されました。
こちらのセミナーに参加して、廃校を活用しつつ、九州各地で活動する人材や地域の豊かさを実感しました。
EPO九州では、今後も、地域と活動団体の把握に努め、持続可能な地域づくりの事例を広めていきます。
林


