3日目。岩手県遠野から北上し、やってきたのは岩手県・雫石町。
ここ雫石には、日本が誇る大型農場「小岩井農場」があります。
小岩井農場は今年でなんと122年目。創業当時からの建物が現在でも使われ、一部は
重要文化財に指定されています。そしてその大きさは社員の方でも分からないところがあるくらい広大。
私も1日ご案内していただきながら、スケールの大きさに 圧倒されてしましました。
この日は、品質保証部部長 鎌田徹さんへの「3.11あの時」のインタビューに私も同席させていただいた後、
小岩井農場の見学と環境に配慮した取組についてお話を伺いました。
右奥の2つは、現存する日本最古のサイロだそう。水色と赤、赤と茶等、色の組み合わせが
100年以上たった今でもとってもおしゃれです。
震災が起きた時、岩手県内陸部にある小岩井農場でも長時間にわたり揺れが続いたものの、
地震に対する直接的な被害は少なかったそうです。
しかし、直後から停電してしまったことで電気を使えなくなったことは、多くの家畜を抱える農場に
とって危機的状況でした。
たとえば電動の搾乳機で1日2回搾乳する牛は、1回搾れないと炎症を起こし、乳房炎になってしまったり、
鶏は、非常にデリケートで停電になってしまうとパニックになってしまい、圧死してしまう可能性もあるそうです。
小岩井農場ではつながりのあるところから発電機を借りて、危機的状況を乗り切ったとのこと。
ただ、飼料を作っている石巻の工場が被災したり、物流の拠点である沿岸部が被災してしまったことで、
日常を取り戻すには数か月の時間がかかったそうです。
エネルギー、物流、そこから派生する諸問題について、平常時からリアルに意識し、現実的な選択肢を探りながら、
「備えること」の重要性を改めて実感しました。
お話を伺った品質保証部の建物。建てられた時のままの木造の建物に赤い屋根。素敵でした!

こちらも赤い屋根のレトロな牛舎の中で休む牛たち。ここからおいしい牛乳やバターが出来上がってるんですねー!
インタビューの後は、鎌田さんに小岩井農場をじっくりと案内していただきました。
何せ岩手を代表する作家、宮沢賢治も描いた風景。
岩手山をバックに広がる豊かな森や草原に映えるのは、木造づくりの建物に赤い屋根。
明治~昭和にかけて作られたものがそのまま残されているこの風景、とても素敵でした!
しかし、この豊かな風景ももともとは何もない「不毛の原野」だったとのこと。
そこを開拓し、アカマツやスギなどを植えて、まず山林事業が発展。
その後、「日本人の体位向上に資する」のため、畜産振興に目標を定め、現在の農場につながっています。
※このあたりのお話は、ぜひ小岩井農場のホームページ をご覧ください。
明治初期、荒れ果てた土地を前に壮大な夢を描き、日本の酪農の礎を築いた方々の物語。引き込まれます!
個人的には小岩井農場の名前の由来もなるほど!と思わず膝を打ってしまったトリビアでした。
まきば広場から見る岩手山。雲に隠れてますね。。。
東北の山は1つ1つどーん、というかどっしりしていたのが印象的です。とてもかっこいいです。

これが宮沢賢治の物語に出てくる「狼森」。おお!と静かに感動してしまったのでした。
手前にあるのは小麦畑。物語が生まれる風景、納得です。
今では全国的に有名な観光スポットの小岩井農場。美しい緑が広がる風景の中には、先ほど触れたように広大な敷地の中には重要文化財も多数あり、
それらを見学するエコツアー=エコファーミングスクールも行われています。
こちらを案内するガイドやスタッフに地元の方を登用したり、地域と連携しながら取組を進められているとのことです。
※こちらのガイド付きツアー「小岩井農場物語」 は、第8回エコツーリズム大賞で優秀賞を受賞されています!(第7回は特別賞!)
また農場の家畜の糞尿や近隣の食品工場の食物残さ等を利用したバイオマス発電が敷地内に設置されていることなど、
農場の特性を活かしながら環境に配慮した取組を進められています。
これ、なんだと思います? なんと天然冷蔵庫なんです!こちらも重要文化財。
なんだかとっても「ジブリ」な世界!

この両端の森も人工林だそう!昔は荒地って。。。信じられないほど。
人が作った森も手入れしていくことで、こんなに豊かな森になることに驚きました!
おとぎ話に出てくるような美しい風景の裏側にある、厳しい冬を乗り越えながら荒地を開拓した先人たちの歴史。そこにははてしない苦労と忍耐があったことと思います。
寡黙で、我慢強く、粘り強いと言われる「東北人気質」。
この研修を通して出会った方々にも、繊細な心配りとともにその奥にある力強さを垣間見たような気がします。
育った場所の環境や文化は、人の根っこの部分に大きく影響するんだろうなぁ、と岩手山を眺めながらあらためて実感。
ふりかえって自分の「九州人気質」について考え直したのでした。
【関連リンク】
小岩井農場


