馬搬を含め、馬とともに営む循環型のくらしについて、お話を伺いました。

遠野と言えば、柳田国男著「遠野物語」。幻想的な雰囲気をかんじます。
そもそも岩間さんが馬搬を始められたのは、炭焼きをしていた時に木が必要になったから。
木を切り出して運び出すのに最も合理的な方法が「馬搬」だったといいます。
木を運び出すというと、現在は大きな重機を用いて山を削って行う大規模なものを思い浮かべますが、
昔は、馬に引かせて、小さな道を活かしながら、山の斜面を滑らせ、川で船や筏を使って運んでいたそうです。
山を削ってしまうと、元に戻すには何年もかかりますが、必要な分をその都度運び出すことで、持続的に
森を利活用していくことができるとのこと。
私たちから見ると特別なことのように思える「馬搬」も、岩間さんの目から見ると、 目の前にある資源を
最大限に活かすための最も効率的・合理的な選択。
草をエネルギーと見做し、草食動物である馬を活かしながら、堆肥を作り、農業や林業を営む。
それは田舎だからこそできる循環型のくらしであり、自然との共存・共生の姿だと言います。
ふりかえってわが身を考えてみると、エネルギー・食料含め、外部からの供給に頼っていることに
改めて気づかされました。。。
愛馬と一緒に記念撮影。その名も「SAMURAI KING(サムライキング)」!
左から岩間さん、古川さん(EPOちゅうごく)、、林(EPO九州)
そして実は岩間さんは、Horse-Loggingの全英チャンピオン大会で優勝した経歴の持ち主!
日本ではトラクターなどの機械化が進んだことで、馬を農業や林業、生活の中に取り入れることは
少なくなってきていますが、ヨーロッパでは今でもこのような大会が行われる位に馬文化が根付いています。
そして森の価値を再評価しながら、 現代の技術を組み合わせ、さらに進化を続けているそうです。
岩間さんも、先人の知恵や伝統的な技法を大事にしながらも、「馬」や「馬搬」というキーワードを活かしながら、
企業とのコラボレーションやブランド化を進め、新しいものとのハイブリッドを意識されながら情報発信されています。
誰より岩間さんご自身が馬とともに営むくらしの面白さを伝え、楽しまれている姿に、馬搬の普及や継承につながる
力強さを感じました。
古くから遠野に伝わる「曲り家」や「駄賃付け」に代表される馬とともに生きる文化。
※曲り家:馬小屋と人家とつながっている家屋。 ※駄賃付け:馬に荷物を背負わせて各地に運ぶこと。
その地域の先人がやってきたことは理にかなっているし、その土地を活かすヒントがたくさんあるという岩間さん。
地域の特性や文化を活かしながらくらしを営み、現代のエッセンスを取り入れながら楽しそうに発信されている姿は
まさに新しいライフスタイル。とってもかっこよかったです!
小さくて見えにくいですが、馬が木を引いている絵と「Japanese Horse Loggers」と書かれたトラック。
岩間さんは同じデザインのTシャツを着られていました
デザインもおしゃれ!
木はカラカラに乾かすと、本当に軽い!!この道具も馬搬専用。ちょっとした技術や知恵がより効率のいい搬出につながります。
遠野の道の駅「風の丘」 で見かけた看板。
遠野は昔から宿場町だったことや、市(いち)が開かれていたため、宮城県・岩手県の沿岸部(大槌・釜石・陸前高田・大船渡等)と
内陸部をつなぐ拠点だったそうです。海の幸と山の幸の交換だけでなく、情報や文化の交流地でもあったとのこと。
(遠野市立博物館 資料より。ちなみにこちらの展示、見ごたえあります!)
その古くからのつながりも活かされ、東日本大震災では、さまざまな団体の沿岸部への支援拠点にもなりました。
九州だったら、どこになるのでしょうか?
「雨ニモマケズ 風ニモマケズ!」(小岩井農場) EPO東北インターンレポート vol.3に続きます!