EPO東北が発行するインタビュー集「3.11あの時」。この冊子に掲載された東北各地で被災地に向き合う方々の中から4名のゲストに九州に来ていただき、東日本大震災でのそれぞれの経験をふまえ「事前防災と再生可能エネルギー」をテーマにご講演・話題提供いただき、意見交換を行いました。
日時:平成26年11月28日(金)13:00~17:00
会場:深見ビル 会議室(福岡市博多区)
主催:EPO東北、EPO九州
■講演・話題提供 最初に新妻先生よりご講演をいただきました。
「虹色の世界と灰色の世界」
新妻弘明氏(東北大学 名誉教授、日本EIMY研究所 所長)
震災を体験して、現代社会は巨大システムへ依存しており、普段何もしなくてもモノが手に入る点滴社会ということに我々は気づかされた。また「エネルギー」を自給エネルギー、流通エネルギー、戦略エネルギーの3つにわけ、自分たちの身の回りの活動がどのエネルギーに分類されているのか見直してみることが必要性である。そして、原子力や火力など、現代社会の大部分を支えている流通エネルギーのパス(経路)に加え、自然エネルギーなどの自給エネルギーのパスを少しでも設けておくことで、その複数の経路が我々のこれからの安心できる暮らしを支えるという考え方として「デュアルエネルギーパス」を提唱している、といった点についてお話をいただきました。
続いて、3つの団体から取組の紹介と話題提供をいただきました。
「命をつないだエネルギー」
野中章久氏(独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター)
まず、BDFの精製には原料となる植物油に加え、メタノールと触媒が必要なことを教えていただきました。それにより植物油がさらさらになり燃料として使いやすくなるとのこと。 そして、ガソリンスタンドの稼動状況を例にした震災直後の燃料不足の現状や、当時バイオディーゼル(BDF)が活躍した例として「いわて生協」の取組の紹介がありました。課題として、震災直後、原料である油はあったがメタノールがなかった地域、メタノールはあったが油がなかった地域など、材料の偏在があったことが挙げられ、さらに普段からバイオディーゼルの利用推進が必要であるとの考えを示されました。
「命を照らしたエネルギー」
武内賢二氏(ソーラーワールド株式会社)
武内氏は、被災3県に、仲間と約230か所、約2500枚の太陽電池パネルを取り付けられ、被災地域の電力供給の手助けとなる活動を行われました。被災者の住まいや漁協などに1つの明かりがともることから復興の第一歩となった地域がいくつもあったとのことです。この経験を通じて、何が必要か、どういうものを目指していくべきか考えさせられたそうです。
「命を暖めたエネルギー」
吉田淳一氏(鳴子まちづくり株式会社)
宮城県鳴子温泉地区は、被災後1週間ほどで電気等も復活し、沿岸部の被災地の状況を知り、温泉で作った約1万個の「ゆでたまご」(搬送しやすく、栄養価が高く、食しやすい)をいくつかの被災地へ持っていき、被災者の方々の食糧支援の活動を行われました。また被災者の方へ浴場を提供するなど、温泉街ならではの支援についてご紹介いただきました。
■意見交換・グループディスカッション
講演・話題提供を参加者で共有し、ゲストと参加者を交えた意見交換を行う場として、グループディスカッションの時間を設けました。進行役のNPO法人ひろしまNPOセンターの松原裕樹氏から「広島市豪雨災害支援活動」報告もあり、身近な課題として災害とエネルギーの問題が示されました。
グループディスカッションでは3つのグループに分かれ、それぞれの班で自己紹介、ゲストへの質問、各話題テーマ等に対する意見交換がなされました。ゲストの方に疑問に答えていただくと同時に、「事前防災」や「エネルギー」といった観点からさらに掘り下げた内容での意見交換がなされました。まとめとして、グループの代表者から、「流通ベースでなく地域ごとのエネルギー資源の個性を踏まえる」「震災後の防災意識の変化を風化させない取組が必要」「事前防災とは、平常時に考えること」などの発表がありました。
この交流会では、事前防災について、そして再生可能エネルギーについてそれぞれのあり方を両方の側面から考え直すきっかけの場となっただけでなく、東北と九州の交流のひとつの機会となりました。 今後も九州・沖縄地域の方々だけでなく、他の地域の方々との交流する場を設けていけたらと思います。
EPO東北HP:http://www.epo-tohoku.jp/

