平成20年10月15日(水)10:50~11:40
授業者 熊本県立大学 環境共生学部 教授 篠原 亮太 氏
昨日の学習をふまえ、今日は「世界の水事情」について熊本県立大学の篠原教授に次のようなお話を伺いました。
『「水」と聞いてみなさんが連想するのは、「心地よい水」「命の水」といったイメージでしょう。しかし、世界には、「役に立たない水」「害を与える水」が 存在するのも事実です。日本のように水道が普及していないアフリカのある地域では、みなさんとさほど年齢が変わらない子どもたちが、生活に必要な水を遠く 離れた川から汲みます。水汲みは、一日のうちでとても大事な仕事です。日本ではそのような光景は目にしないでしょう。日本は非常に水に恵まれた国で、降水 量も豊富です。一方で、食料自給率が低いため、海外から食料を大量に輸入しており、それらの食料の生産に要する膨大な量の水(仮想水)も間接的に消費して いることになります。幸い、熊本は農業県であり、また、環境省が選定する「平成の名水百選」に も4ヶ所が選ばれています。ミネラルウォーターをお店で買ったことがある人もいると思いますが、熊本地域では、蛇口をひねれば非常に良質で美味しい水が出 ます。熊本は、正真正銘「水の都」なのです。その「水の都」である熊本にも、危機が訪れていることは、昨日みなさんが学習したとおりです。
日本以外の国をみてみると、例えばインドネシアでは、かつて400年以上前のジャカルタでは、市内を流れる河川の水もそのまま飲むことができたそうです。 しかし、ひとたび川がゴミで埋め尽くされてしまうと、住民の間で「川は汚れているもの」という意識が根付いてしましました。このままではいけないと、ラジ オや漫画、演劇をとおして河川環境改善のための啓発活動が繰り広げられ、住民が一丸となってゴミ拾いをしました。川はみるみるうちに元の姿を現し、現在も 住民の努力によりそのきれいな姿のまま保たれています。私は水質問題の専門家としてアジアへ何度も足を運んできましたが、ベトナムのハノイ、中国、台湾、 インドなどでも同じような光景を目にしたことがあります。ですが、これはアジアに限った問題ではなく、環境問題に非常に熱心だと言われているヨーロッパで も水質問題を抱えている国があります。
このように、「環境を守りたい!と思わなければ、環境は守れない」ということを、さまざまな国の視察を通 して痛感しました。これは、日本においても同じだと思います。九州の北の方に位置する北九州市では、戦後の経済発展とともに自然環境は悪化の一途をたどり ました。しかし、下水道を整備するなど河川環境の改善に努め、今では心地よい水環境を地域住民だけでなく、市内を訪れる人々に提供しています。
是非みなさんも「環境を守りたい!」という気持ちをいつまでも持ち続けてください。』
先生のお話を伺い、子どもたちからは「世界の水事情について知ることができた」「仮想水(バーチャルウォーター)の話は驚いた」といった感想が寄せられました。
今日は視野を広げるために世界の水事情について学びましたが、普段当たり前のように使っている水がとても貴重なものであることに子どもたちは改めて気付かされたようでした。
篠原教授のもとで勉強する学生さんたちは、東南アジアへ水やごみ問題の視察研修に行かれることもあるそうです。現場を前に得るものは非常に大きいと思いま す。今回は、スライドを使った教室内の授業でしたが、学校付近の河川環境を見学しながら、身近な水環境に思いを巡らせる学習もいいのではと思いました。
次回は、子どもたちの日常を視点にした「くまもとの水」、節水の話を熊本市水保全課の方に伺います。


